第10回北海道MD(軽症うつ病)研究会 特別講演

蘭越町健康推進課 保健師 近藤 圭子
 

 10年間の実績あるこの研究会の開催が今回で最後ということで、私は最初で最後の参加となってしまったことがとても残念です。

最後の記念すべき前沢先生の特別講演「うつ病診療から学んだこと」を聴講させていただきましたので、僭越ながら感じたことをお話しさせていただきます。

 うつ病の問題は、以前に比べて多岐にわたって考えさせられる場面がかなり多くなりました。罹患者数が増加しているだけでなく、人々が抱える悩みや不安も複雑化しており、新型うつ病や認知症、発達障害などとの関連も多くなっています。

 講演の中で紹介されたケースは、日頃の活動の中でも似たようなケースがあります。実際に自分が関わっている中では自死にまで至ったケースはありませんが、自分のすぐ身近な所で十分あり得ることだと痛感しました。これまでの振り返りとして考えると、先生がポイントとして挙げられた“こころの状態に配慮する”“あらゆる患者(対象)がうつを併せ持つ可能性がある”ということを改めて念頭に置き、留意していかなければならないことを考えさせられました。

 私たちの気づかない所で、生活や体調の変化から心の状態に影響を受け、住民は孤独感を感じたり、不安に駆られたりしています。日頃の活動、関わりの中で早期にその人の全体像を捉え、小さな変化に気づけるように、アンテナを張っておかなければなりません。保健師として予防的な視点で考えると、私たち関わる側がコミュニケーション能力、アセスメント力を研ぎ澄ましておくだけでなく、その人自身が自分でどの程度処理できるのかを知り、限界を感じるその手前で何らかのサインを出せるように、環境整備も必要になりますね。まさに、先生の講演の中にあった健康づくりの環境整備、ヘルスプロモーションの基本なのですね。この場合の環境とは、その人がサインを出せる場所の確保や、保健師が関係づくりの調整役もしくは直接、その人からのサインを受け止めることもあります。その人にとっての“一歩手前の状態”を、その人自身に気づかせてあげることが役割となるでしょう。

 心がけるべきこととして挙げられた5つの項目は、医師だけでなく保健師を含めた、対象に関わるすべてのコメディカルにも共通して言えることだと思います。改めて“生活するその人”として捉えることが重要ですね。

 医師が的確に診断するためには、診断材料となる多くの情報が必要だと思います。また、ニーズに添った適切な支援を行っていくには、関わる関係機関が協力して診断に必要な情報を共有し、多角的にその人を捉え、チームとして連携プレーできることを期待したいです。

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