地域医療を守るには“住民の意識を変えなくては”

蘭越町役場健康推進課健康づくり対策係兼
地域包括支援センター

保健師 近藤 圭子

  地域医療の問題の一例として倶知安厚生病院の問題は、以前から取り上げられていることですが、そのことに関して住民から聞こえてくるのは、“医師がいなくなったら困る”“○科がなくなったら困る”ということだけなのです。しいては“受診する度に医師が変わるんだよね”と。

  みんな、病院はあって当然、医師は(地域に)居て当然と思っています。これって全部自分中心。なぜ、こんなこと(恒常的な医師不足等の問題)になったのか、までは考えていないのです。やっぱり他人任せ、誰かがなんとかしてくれると思っている証拠ですね。自分たちには何ができるか、どうしていけばいいのかなんて考えも及ばないのではないでしょうか。

  紋別のある北網地域も、医師不足が深刻な所であり、様々な紆余曲折がありながらも住民が問題意識を持って立ち上がり、主体的に地域に広がっていった活動は、これぞ住民のエンパワーメントを感じた報告でとても関心深いものでした。

  その問題提起をしているこの会には、もっと多くの地域住民に関心を持って参加してもらいたいです。 

  私はこれまで、何回か地域医療を考える会に参加してきて、実際に3月には弊町においてシンポジストとして自分の保健活動の振り返り、地域の問題について考える機会をいただきました。少しずつですがそれぞれの立場における現状、取り組むべき課題が見えてきたように思います。(遅いかな?まだまだ未熟なので、許してください。)

  今回の集いでは、地域の基幹病院で現場に従事する医師の現実と悲鳴にも受け取れる生の声が、とても心に響いています。行政としての姿勢、福祉の立場での取り組みなど、いろんな声をみんながそれぞれに「自分に何ができるか」について、問題意識を持って考えていくきっかけになったと考えます。お互いが同じテーブルに着いて、生の声を聴くことは、大きな進歩だと思います。

  最後の意見交換会では、住民と医師間の距離は遠い、お互いに歩み寄る努力が必要との声が上がり、私自身、その間を取り持つコーディネーターとして保健師の役割も重要だと痛感しました。

  最後のまとめにあった、関係機関として私たちは町づくりの一員であり、主役は住民であるということを改めて思い返し、今後の活動に取り組んでいきたいと思います。

  行政、医療機関等、それぞれの立場でやるべきこと、改善すべく取り組んでいかなければならないのはもちろんですが、それと同時に“住民も育てなければ”変わっていかないと思うのです。

  医療提供者側が問題意識を持つだけではなく、やっぱり医療を受ける側も問題意識を持たなければ、何も変わらないです。住民を育てる、意識を変える・・・これを担うのは、ありのままの生活を見て、住民に一番近い場所に居られる保健師がやっていかなければならないことだと感じています。その住民に発破をかけるのは誰か・・・それはやっぱり保健師ですね!

 (写真:左は司会者の土田先生と、右は前沢教授と)

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